上皮性腫瘍と非上皮性腫瘍の鑑別に苦慮した症例

○今井 淳  鈴木 孝幸  久野 久則  鈴木 周五

症例

子宮 60歳代 女性
右下腹部痛および不性器出血にて近医産婦人科を受診したところ、子宮の腫瘤を指摘され当院受診。

細胞診所見

背景に壊死物を認め、細胞境界不明瞭な細胞が集塊~孤立散在性に出現。細胞は紡錘形~円形、裸核細胞も認め、細胞質はライトグリーン淡染性。核は円形~楕円形で大小不同、核形不整も認め、核小体は目立ちクロマチンは細顆粒状~顆粒状に増加している。またcomet cellを極少数認めた。個々の細胞所見から肉腫を疑ったが、細胞集塊の中に結合性を想起する部位を認め癌も否定できなかった。

組織所見

大型で多形の強い異型細胞が豊富な血管を伴いながら密に増殖し、一部で壊死を伴い筋層に浸潤する。核の大小不同が目立ち、多核細胞も見られ、核分裂像は59/HPF存在する。免疫染色の結果CD10 cyclinD1陽性で、KeratinAE1/AE3sm-actin、陰性であり、高悪性度子宮内膜間質肉腫を考えた。

まとめ / 考察

本症例は細胞診にて肉腫を疑う細胞像を認めたが、一部の細胞集塊は結合性を想起し、癌を否定出来ず診断に苦慮した。高悪性度子宮内膜間質肉腫は多形成が目立ち、不規則集塊で出現する事があり、鑑別が難しいとの報告がある。

病院別