喀痰細胞診

名古屋掖済会病院

症例

喀痰 50歳代 男性
<臨床経過>
主訴:呼吸困難
現病歴:受診の2週間前から息切れが出現し、当院呼吸器科を受診した。
受診時の胸部レントゲン写真にて、両下肺野優位に網状影を認めた。
胸部CTでは、両肺下葉中心に、びまん性のスリガラス影を認めた。

細胞診所見

背景は比較的きれいで炎症細胞なども目立たないなか、ライトグリーンやエオジンに淡染する泡沫状の物質を少数認める。
これらはニューモシスチス・ジロヴェットの菌体および崩壊物質やタンパク質の複合体と考えられる。

組織所見

肺胞中隔は軽度のリンパ球浸潤、肥厚を示し、肺胞腔内に弱好酸性、泡沫状の構造物を認めた。
Pneumocystisを疑い、グロコット染色にて確認し、カリニ肺炎と診断した。
電子顕微鏡での観察にても、類円形や三日月型のpneumocystisを認めた。

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まとめ / 考察

1.間質性肺炎の疑われる症例ではカリニ肺炎も鑑別疾患として考慮する必要がある。
2.カリニ肺炎の診断からHIV 感染が判明することもあるので、迅速・正確な診断が必要である。

病院別